第5回
2019/4/29
放送
おもちゃ箱をひっくり返したような夜景
<鍋冠山>
マゴノテの長崎ミッケはこちらからもお聞きいただけます
作家の西垣です。
もう暗いです。
いない猫を探したりして、くたくた古藤くんは、
ゼロの表情のままラジオをしておりました。
ところで、
長崎は、世界新三大夜景と呼ばれています。
他の2つはモナコと、香港です。
なんで「新」なんだとか、誰が審査してんだとか色々気になるところですが、
とにかく選ばれました。
(調べると、全国約5542名の夜景鑑賞士にアンケートに実施して決めたそう。
ん?夜景鑑賞士?人類みな夜景鑑賞士ではないのか!
と思ってさらに調べていると、なんと検定があるんですね。
試験をうけて通過した人だけが夜景鑑賞士になれるらしいです)
で、この認定以降、
新三大夜景廃業寸前の稲佐山(いなさやま)ロープウェーが驚異的な来場者数を記録!
長崎の夜景は稲佐山が最高!というのが広まったのです。
ということで、
鍋冠山(なべかんむりやま)に向かいました。
いやー、稲佐山行きたいですよ。素直に。
けど、今福さんがオススメ!っていうから。
ぶーぶー言いながらも、僕らは4人乗りのワゴンに乗り込みました。
車内のラジオはNBCに合わせていてアルコ&ピースのラジオが流れてました。
大学生の頃、友達と夜景を見にいったなとふと思い出しました。
免許とりたてで、道も全然分からないし、実家のセルシオで、とにかく行き当たりばたりで、山の方にのぼったりして。
大学生からはるか遠くすぎて、僕らは三十代前半になって、
三人は同じ大学のサークルで育って、ひとりは全然知らないNBCラジオの男。
車内の空気を逃すように少しだけ窓をあけると、まだ春になりきれていない風が吹き込んできました。
展望台は、山から少しせりだしていて、丸い鉄柵がかかっています。
その円にそうように、カップルや、家族、大学生の友人同士が、夜景をみています。夜景からの逆光で、彼らは幻影のようにほわほわと見えました。
僕らも幻影に混じりに、柵から長崎の街を眺めてみました。
ひらめく光が波打つように、奥に広がっていきます。
長崎の地形がすり鉢状になっているから、だんだんとせり上がっていくように、
夜景が立体的に見えるんです。
すみません、ちょっと分かりづらいかもしれませんが、
女神大橋は、星と星とをつなぐブランコのようにかかっています。
さて次回はそんなロマンティックな場所で、
変な植物を探してまいります。
ご存知ですか? 銀龍草